南海トラフ地震は「30年以内に70〜80%」の確率で発生すると政府が公表している巨大地震です。いつ来るのか、どんな被害が想定されるのか、今すぐできる備えを解説します。
南海トラフとは、静岡県の駿河湾から九州東方沖にかけて延びる全長約700kmの海底の溝(トラフ)です。フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込む境界部にあたり、この境界でひずみが蓄積し、定期的に巨大地震を引き起こしています。
過去には100〜150年おきに繰り返し発生しており、直近では1944年の東南海地震(M7.9)と1946年の昭和南海地震(M8.0)が発生しました。それから約80年が経過した現在、次の巨大地震への警戒が高まっています。
政府の地震調査研究推進本部は、南海トラフ地震の長期評価を定期的に公表しています。
2019年から「南海トラフ地震臨時情報」の運用が始まりました。南海トラフ沿いでM8以上の地震が発生した場合や、プレート境界でのゆっくりとした滑り(スロースリップ)が検知された場合に発表されます。
2024年8月、日向灘でM7.1の地震が発生した際に「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が初めて発表されました。この情報が出た際は、ハザードマップの確認・避難場所の再確認・非常持ち出し袋の点検を行いましょう。
内閣府の被害想定(2013年・最大クラス)によると、南海トラフ地震の被害は以下のように想定されています。
| 項目 | 最大被害想定 |
|---|---|
| 死者数 | 約32万人(うち津波による死者約23万人) |
| 全壊・焼失棟数 | 約238万棟 |
| 避難者数 | 最大約950万人 |
| 経済被害 | 約220兆円 |
| 被害が大きい地域 | 静岡・愛知・三重・和歌山・高知・宮崎など |
これは「最大クラス」の想定であり、実際の被害は発生時刻・気象条件・建物の耐震化状況などによって大きく変わります。ただし、適切な避難行動をとることで死者数を8割以上減らせると試算されています。
南海トラフ地震で最も恐ろしいのが津波です。太平洋沿岸の各地に巨大な津波が押し寄せる可能性があります。
| 地域 | 最大津波高 | 到達時間 |
|---|---|---|
| 高知県(黒潮町) | 最大34m | 約2〜3分 |
| 静岡県 | 最大33m | 約10〜20分 |
| 三重県 | 最大26m | 約10〜20分 |
| 愛知県 | 最大6m | 約30〜60分 |
| 大阪府 | 最大3m | 約2〜3時間 |
南海トラフはとても広いため、「東側だけ」「西側だけ」が先に破壊されることがあります。これを「半割れ」と呼びます。半割れが発生すると、残りの部分が数日以内に続けて破壊される可能性が高まります。
2024年8月の臨時情報発表後、政府は「1週間程度は巨大地震への備えを強化してください」と呼びかけました。このような情報が発表された際は、旅行や外出を控え、避難できる準備を整えておくことが重要です。
お住まいの自治体が公表している「津波ハザードマップ」「洪水ハザードマップ」を確認し、自分の家がどのゾーンに入るかを把握しておきましょう。国土交通省のハザードマップポータルサイトでも確認できます。
地震発生から津波到達まで数分しかない地域もあります。「どこに逃げるか」「どの道を通るか」を事前に家族で決めておきましょう。夜間・雨天・一人の場合なども想定しておくと安心です。
最低3日分の水・食料・救急用品・懐中電灯・ラジオ・モバイルバッテリーを準備しましょう。詳しくは非常持ち出し袋の中身 最新版を参考にしてください。
地震の揺れで家具が倒れることによる死傷者は非常に多いです。寝室・子ども部屋を優先して家具の固定を行いましょう。