東京の3大リスク
首都直下地震が東京に与える被害は大きく「液状化」「建物倒壊」「火災延焼」の3種類に分類されます。それぞれのリスクは地域によって大きく異なり、自分の住む地域の特性を知ることが最初の防災です。
最大
M7.3
M7.3
首都直下地震の
想定マグニチュード
想定マグニチュード
約6,100
最大想定死者数
(東京都)
(東京都)
約19万
最大想定
建物被害棟数
建物被害棟数
約320万
最大想定
避難者数
避難者数
🔴 3つのリスクの関係
液状化は地盤沈下・建物傾斜を引き起こします。建物倒壊は直接的な圧死リスク。火災延焼は倒壊した建物や火の粉が連鎖し、最大の死者をもたらします。関東大震災(1923年)では死者の約90%が火災によるものでした。
総合危険度ランキング(東京23区)
東京都「地域危険度測定調査(第9回)」の「総合危険度」をもとに作成。建物倒壊リスク・火災延焼リスク・避難困難リスクを総合的に評価したランキングです。
1
荒川区
木造密集地域の割合が23区最高水準。関東大震災でも壊滅的な被害を受けたエリア。火災延焼危険度が特に高く、避難経路となる道路幅が狭い地区が多い。
2
墨田区
隅田川沿いの低地帯に位置し、液状化リスクと木造密集地が重なるエリア。旧耐震基準の建物も多く、倒壊後の火災延焼が特に懸念されている。
3
足立区
荒川・隅田川に囲まれた沖積低地で液状化リスクが高い。区内に旧耐震基準の建物が多く残っており、倒壊被害が拡大する可能性がある。
4
台東区
浅草・上野など観光地があり、地震発生時には帰宅困難者が集中する懸念。木造密集地域が多く残り、路地が狭い地域での火災リスクが高い。
5
北区
王子・滝野川などで傾斜地の古い木造住宅が密集。傾斜地では土砂崩れと建物倒壊のリスクが複合する。荒川沿い低地の液状化リスクも無視できない。
液状化リスクが高いエリア
液状化とは、地震の揺れで地盤が液体のように流動化する現象です。砂質地盤・埋立地・旧河川跡地で特に発生しやすく、建物の沈下・傾斜・ライフライン断絶を引き起こします。
⚠️ 東京の液状化危険ゾーン
東部低地帯(江東区・墨田区・江戸川区・足立区・葛飾区)と湾岸埋立地(豊洲・有明・お台場など)が特に液状化リスクが高い地域です。2011年東日本大震災でも東京湾岸の浦安市(千葉県)で大規模な液状化が発生しました。
江東区
液状化
建物倒壊
火災延焼
ほぼ全域が海抜0m以下の「ゼロメートル地帯」。大規模液状化が発生すれば、地盤沈下・道路の亀裂・ライフライン断絶が長期間継続する恐れがある。
江戸川区
液状化
建物倒壊
火災延焼
荒川・江戸川に挟まれた低地。国の試算では首都直下地震で区内の約40%が浸水・液状化の影響を受ける可能性がある。
葛飾区
液状化
建物倒壊
火災延焼
元々は水田・沼地だった地域が多く、地盤が軟弱。木造住宅密集地域との複合リスクが課題。
豊洲・有明(江東区湾岸)
液状化
建物倒壊
火災延焼
埋立地のため液状化リスクは都内最高水準。高層マンションは建物自体は耐震基準を満たすが、周辺インフラ・道路の液状化が孤立リスクを高める。
火災延焼リスクが高いエリア
東京都の「地域危険度測定調査」では、木造建物の密集度・道路幅・消防活動困難度を総合して火災危険度を評価しています。危険度が高い地区は消火活動が困難で、一度出火すると広範囲に延焼するリスクがあります。
🏘️ 木造密集地域(整備地域)
東京都は火災延焼危険性の高い区域を「不燃化特区」として指定し整備を進めています。荒川区・足立区・墨田区・北区・板橋区・大田区などに多く指定されています。整備前の地区では特に注意が必要です。
| エリア | 火災危険度 | 主な要因 | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| 荒川区・南千住〜町屋 | 極めて高い | 木造密集・路地狭小 | 関東大震災で全焼したエリア |
| 墨田区・向島〜東向島 | 極めて高い | 木造密集・消防車両進入困難 | 戦後の再建で密集化 |
| 足立区・西新井〜竹の塚 | 高い | 木造建物密集・道路未整備 | 不燃化特区指定あり |
| 北区・王子〜上十条 | 高い | 傾斜地木造密集 | 急傾斜地での延焼危険 |
| 板橋区・志村〜蓮根 | 中〜高 | 木造混在・区画整理未了 | 整備進行中 |
| 大田区・蒲田周辺 | 中〜高 | 木造工場混在・路地狭小 | 工場跡地の住宅密集 |
| 新宿区・歌舞伎町周辺 | 中 | 繁華街・雑居ビル密集 | 夜間人口が多く初動対応困難 |
比較的リスクが低いエリア
「リスクが低い=安全」ではありません。どのエリアでも首都直下地震では震度6弱〜6強以上が予想されており、家具転倒・ガラス飛散・停電・断水は全域で発生します。「備えは不要」という地域は東京には存在しません。
港区(高台地区)
液状化
建物倒壊
台地上の地盤は比較的安定。高層ビルは長周期地震動の揺れが大きい点には注意が必要。
文京区
液状化
建物倒壊
武蔵野台地の安定した地盤。ただし谷戸地形の沢沿いでは局所的に地盤が弱い箇所もある。
世田谷区(高台部分)
液状化
建物倒壊
全体的に液状化リスクは低いが、多摩川沿いの低地では液状化・洪水リスクが高まる。区内でも場所により大きく差がある。
練馬区(台地部)
液状化
建物倒壊
関東ローム層の台地で地盤は安定。ただし区内の川沿い・石神井川流域では地盤が軟弱な箇所がある。
📍 自分の住所を確認する方法
東京都建設局の「東京の液状化予測図」と東京都防災会議の「地域危険度マップ」でピンポイントに自分の住所のリスクを確認できます。区のホームページからもハザードマップにアクセスできます。
よくある質問
Q.高層マンションは安全ですか?
▼
2000年以降の超高層マンションは耐震・免震性能が高く、建物が倒壊する可能性は低いです。ただし①長周期地震動による激しい揺れ(家具転倒)②エレベーター長期停止③断水によるトイレ問題④周辺液状化による孤立などのリスクがあります。備えと対策は一戸建てと同様に必要です。
Q.1981年以前の建物はすべて危険ですか?
▼
1981年6月以前の「旧耐震基準」で建てられた建物は、現行基準より耐震性が低い可能性があります。ただし耐震補強工事を行っている建物も多く、一概に「すべて危険」とは言えません。居住・利用している建物が旧耐震の場合は、自治体の耐震診断・耐震補強補助制度を活用することを強くお勧めします。
Q.液状化が起きると建物はどうなりますか?
▼
建物の基礎が液状化した地盤に沈み込んだり傾いたりします。建物自体が崩壊しない場合でも、傾きによる居住不能・上下水道断絶・ガス管破断などが生じます。特に杭基礎でない建物(木造住宅など)は傾斜・沈下リスクが高く、修復に多大なコストと時間がかかります。
Q.危険エリアに住んでいる場合、引っ越しが最善ですか?
▼
引っ越しが選択肢になることもありますが、現実的には難しい方が多いでしょう。まずは①建物の耐震補強②家具転倒防止③十分な備蓄④避難計画の策定から始めることが重要です。危険エリアに住んでいても、備えをしている人とそうでない人では被害に大きな差が生まれます。