南海トラフ沿いで異常な現象が観測されたとき、気象庁が「次の巨大地震の可能性が普段より高まっているか」を評価して出すのが臨時情報です。区分・期間・取るべき行動を、避難が必要なケースまでわかりやすく整理します。
南海トラフ地震臨時情報は、駿河湾から日向灘沖にかけての「南海トラフ」沿いで、ふだんと異なる地震や地殻の動きが観測されたときに、気象庁が発表する情報です。2019年に運用が始まりました。
大切なのは、これが「いつ・どこで地震が起きるかを当てる予知ではない」という点です。あくまで「次の巨大地震が発生する可能性が、平常時と比べて相対的に高まっているかどうか」を評価して知らせるものです。確率が高まっても、必ず地震が起きるわけではありません。
| 区分 | 発表される状況 | 呼びかけ |
|---|---|---|
| 調査中 | 南海トラフ沿いでM6.8程度以上の地震、または通常と異なる地殻変動などを観測。評価を開始した段階。 | 続報に注意。慌てず情報を待つ。 |
| 巨大地震注意 | M7.0以上8.0未満の地震など、一定の条件に該当した場合。 | 避難は不要。1週間程度、備えを再確認し、すぐ避難できる態勢に。 |
| 巨大地震警戒 | M8.0以上の地震が発生した場合(「半割れ」ケース)。 | 津波避難が間に合わない地域などで1週間の事前避難を呼びかけ。 |
| 調査終了 | 調査の結果、巨大地震の可能性が高まったと評価されなかった場合。 | 特別な防災対応は終了。日頃の備えは継続。 |
まず「調査中」が出て、評価が終わると「巨大地震注意」「巨大地震警戒」「調査終了」のいずれかが発表される、という流れです。
南海トラフ想定震源域でM7.0以上の地震が起きた場合などに発表されます。事前避難は呼びかけられませんが、巨大地震の発生可能性が普段より高い状態です。1週間程度は、家具の固定・非常用品・避難経路の確認を行い、寝るときも靴や持ち出し袋をそばに置くなど「すぐ逃げられる」準備をします。
想定震源域でM8.0以上の地震が起きた「半割れ」ケースで発表されます。残りの領域でも続けて巨大地震・津波が起きる可能性が相対的に高いため、津波の到達が早く避難が間に合わない地域の住民や、要配慮者などには1週間程度の事前避難が呼びかけられます。対象地域は自治体があらかじめ決めています。
注意・警戒の呼びかけ期間の目安は発表から1週間程度です。事前避難を行った地域でも、1週間が経過すると通常の生活に戻る方向で見直されます。
ただし、1週間で危険がなくなるわけではありません。統計的に「直後ほど確率が高い」ため期間が区切られているだけで、その後も南海トラフ地震への日常的な備えは続ける必要があります。
2024年8月、日向灘でM7.1の地震が発生し、制度の運用開始後はじめて「巨大地震注意」が発表されました。このとき事前避難の呼びかけ(警戒レベル)はありませんでしたが、全国的に防災用品が品薄になるなど社会的な関心が高まりました。約1週間後に呼びかけは終了しています。
この経験から、「臨時情報=即避難」ではないこと、そして日頃から備えておけば臨時情報が出ても慌てずに済むことが、あらためて確認されました。