📡 緊急地震速報が来ない地震があるのはなぜ?

最終更新: 2025年4月

「揺れたのに緊急地震速報が来なかった」という経験はありませんか?緊急地震速報には構造的な限界があり、すべての地震に対して発令されるわけではありません。その理由を詳しく解説します。

目次
  1. 緊急地震速報の仕組み
  2. 発表基準(M4.5以上・震度5弱以上)
  3. 来ない主な4つの理由
  4. 過去の「来なかった」ケース
  5. 速報に頼りすぎない備え

📡緊急地震速報の仕組み

緊急地震速報は、P波(初期微動)とS波(主要動)の速度差を利用した早期警報システムです。地震が発生すると、まず速くて小さな揺れのP波が到達し、次に遅くて大きな揺れのS波が到達します。

気象庁の全国地震観測網(約1,000か所)がP波を検知すると、コンピュータが自動的に震源と規模を推定し、S波(本震)が到達する前に警報を発令します。この「猶予時間」は震源から遠いほど長くなります。

P波とS波の速度:P波は約6〜8km/秒、S波は約3〜4km/秒で伝わります。震源から100km離れた地点なら、P波到達からS波到達まで約10〜15秒の猶予があります。

気象庁がP波を検知してから警報を発令するまでに数秒かかるため、震源から近い地域ほど猶予時間が短くなります。震源から80km以内では、警報が届く前にS波が到達することもあります。

📊発表基準

緊急地震速報(一般向け)は、以下の基準を満たした場合のみ発令されます:

どちらかの基準を満たさない場合、一般向け発令は行われません。ただし、震度4以上と予測される地域には発令されます。また、「予報」と「警報」の2種類があり、警報は特に強い揺れが予測される場合に発令されます。

種別条件受信者
緊急地震速報(予報)M3.5以上またはPGA100gal以上を検知高度利用者(防災機関など)
緊急地震速報(警報)震度5弱以上が予測された地域一般向け(テレビ・スマートフォン)

来ない主な4つの理由

REASON 01
震源が近すぎる(直下型地震)
震源が観測地点や都市の真下にある場合、P波の検知・解析・発令の処理時間(数秒)の間にS波が到達してしまいます。阪神淡路大震災(1995年)や熊本地震(2016年)前震などはこれに当たります。直下型地震では「速報なしで揺れが来る」ことを前提に備えることが必要です。
REASON 02
規模が小さい(M4.5未満・震度5弱未満)
M4.5未満や震度5弱未満と予測される地震は一般向け発令の基準を満たしません。体感的にはそれなりの揺れでも、速報が届かないことがあります。たとえば震源が浅くて震度4程度に留まった場合などは速報が来ません。
REASON 03
深発地震
震源が非常に深い(300km超)深発地震は、地表への揺れが弱くなる傾向があります。また、深発地震は震源が広い範囲から離れているため、予測される震度が基準を下回ることがあります。広い範囲でゆっくりした揺れを感じても速報が来ないことがあります。
REASON 04
複数の地震が同時発生(干渉)
ほぼ同じタイミングで複数の地震が発生すると、地震計のデータが混在して震源推定が困難になります。2011年東日本大震災では、本震直後に多くの余震が続発し、複数の緊急地震速報が連続発令される事態になりました。反対に、干渉により発令が遅れたり精度が落ちるケースもあります。
補足:海外の地震(数千km離れた遠地地震)も、日本に届く揺れが弱いため一般向け発令はされません。ただし、遠地での巨大地震は津波を引き起こす可能性があるため、津波警報は別途発令されます。

📋過去の「来なかった」・「間に合わなかった」ケース

地震状況理由
阪神淡路大震災(1995年)速報システム自体が未整備当時は緊急地震速報が存在しなかった
新潟県中越地震(2004年)試験運用中で一般向け未発令一般向け運用は2007年から
熊本地震前震(2016年)震央付近には間に合わず震源が近すぎてS波が先着
大阪北部地震(2018年)最大震度6弱で速報間に合わず直下型・震源が浅く処理時間内にS波到達

🛡速報に頼りすぎない備え

緊急地震速報は非常に有用なシステムですが、すべての危険な地震に対して有効ではありません。「速報が来なければ大丈夫」という考え方は危険です。

重要:直下型地震では「揺れてから速報が鳴る」または「速報が来ない」ことが多いです。「警報音を聞いてから行動する」ではなく、「揺れを感じたら即座に行動する」を基本にしてください。